医療法人社団 天紀会 こころのホスピタル町田

精神科病院での長い入院生活の中でも食の楽しみを

喫食率の向上とソフト食の必要性を周知するために、既製品介護食を活用

施設分類:精神科病院

ベット数:378床

栄養士 山口育恵さん(前列右)および栄養部の皆様

  • 食形態ごとの内訳

    コード なし なし なし なし なし なし
    名称 経管 開始食(補助食品+ゼリー粥) ミキサー(ソフト食)※既製品活用 きざみ(強め) きざみ 粗きざみ 軟菜食(一口大) 軟菜食(かたち) 常食(一口大) 常食(かたち)
    対象人数 26 11 35 45 30 25 25 25 20 110

  • 嚥下調整食を導入する際のポイントや流れ

    1)ソフト食導入のきっかけ

    ミキサー食だと何を食べているか分からないといった声があり、「形があるものを提供してみてはどうか」と前院長より提案があったことから2015年にソフト食を開始しました。精神科病院ということで入院生活が長いので、食を楽しみにしている患者様に喜んでいただくために導入を進めてきました。

     

    2)導入~これまでの流れ

    最初はゲル化剤を使用し、試作を繰り返し行っていました。しかし試作する中でゲル化剤だと調整が難しく、毎回物性が違うという悩みがありました。そこで少しずつ既製品介護食を使用して、現在は手作りと併用しながらうまく提供できるようになりました。既製品も活用することで安定したものが提供できるようになり、作業効率もアップ。調理も慣れてきて、毎回行っていた試作もしなくてもよくなりました。

     

    3)ポイント・工夫

    初めて提供する際は、お食事の様子を見に行ったり、介助している方に聞いたりして改良していくの繰り返しでした。通常嚥下機能に問題ない方でも、詰め込みや薬の影響で変化することがあります。言語聴覚士にアドバイスをもらったり、患者様への嗜好調査で少しずつ食事の形態が分かってきました。

     

  • どんな風に活用しているか

    現在は月に1回のイベント食の際に既製品介護食を活用しています。患者様の入院日数が長いので、食の楽しみを感じてもらうため、毎月のイベント食や行事食に合わせて実施します。患者様も職員もだれでも参加でき、一緒になって楽しむことで、患者様も通常ではありえない食欲が出ることがあります。

     

    現在 既製品介護食を活用したお食事を召し上がっている方は、形のあるムース食(魚型など)に慣れている方です。いつも食べているものと違うと嫌がる方や、薬の影響で嚥下機能が低下する方もいるので、誤嚥のリスクは言語聴覚士と連携しながら、あんをかけるなどして物性の違う食材でも一緒にまとまるようにしています。

     

    病院内での認知度が上がったり、作業効率が上がれば、手作りと併用して既製品介護食も使用できる可能性が広がるので、職員の昼食時にもソフト食のメニューを試食してもらう等して病院内でも認知度をあげるように働きかけています。

     

  • 既製品を使うことのメリット

    既製品介護食を使用することのメリットはいくつかあります。

     

    〇既製品は物性が安定しているので、毎回同じものが提供できたり、この硬さというのが分かっているので安心して提供できます。

     

    〇既製品は失敗がないのもメリットです。ゲル化剤だと時間もかかるし、型抜きするとロスが発生します。特に魚の形は手作りでは作りにくいので、すでに魚の形になっているマルハニチロの商品にはメリットを感じています。見た目がいつもと違うと、いつも食事に時間がかかる患者様も喫食時間が早くなる方もいますし、見た目が魚だと食べようという意識がでる患者様もいます。患者様もご自分で食べやすいですし、介助する方もスプーンに乗せて食べさせやすいのもメリットです。

     

    〇既製品を使用すると味がしっかりします。例えば、とけないコーンをバーナーであぶって焼きトウモロコシにすると味がはっきり分かり、通常よりも喫食率が上がるということがあります。

     

    〇栄養価的にもメリットがあります。通常はMCTオイルやたんぱく質を添加していますが、既製品はそれで完結するので栄養価的にもよいと思います。

  • 費用について

    食材が高騰しているので、魚などを比較すると既製品介護食の方が逆に安い場合もあります。全部既製品にすると価格が上がるので、当院では手作りと併用して既製品介護食にも手を加え提供しています。価格や作業工程も考え、肉や魚などのメインは既製品介護食を、副菜は手作りにするなどして調整しています。

     

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