食材費高騰を乗り切るためにどんな工夫をされていますか?

『食材費高騰を乗り切るためにどんな工夫をされていますか?』について、

社会福祉法人 共愛会 特別養護老人ホーム共愛の里 管理栄養士 栗野先生にお話を伺いました。

 


価格だけでなく、栄養価や調理作業効率なども考慮しながらの献立作成に頭を悩ませている栄養士さんは

多いのではないでしょうか。

 

価格の安い食材や商品に変更しながらも栄養量の基準も満たす必要があります。

そして何より食べてもらわなければどれだけコストを下げても栄養量を満たしても意味がありません。

生活の中で楽しみの1つである食事。満足度を下げずに給食を提供したいですよね。

 

高齢になってくると食が細くなったり、吸収率の低下、食事への意欲低下が見られる方も多く、栄養状態に影響が出てきます。高齢者施設だと、食材料費に加えて、トロミ粉や栄養補助食品などのコストも考える必要があります。

 

当施設での具体的な対策を紹介します。


1.トロミ粉や栄養補助食品の見直し

トロミ粉は介護職員、厨房職員と相談して違う商品へ切り替え。

入居者さんにとっての味への影響や飲み込みやすさはもちろんですが、トロミに対してなるべく同じ分量のものを探し、今までの業務と変わらないように職員側の業務負担も考慮しながら商品を選択しました。

メーカーさんとも相談して、月の使用量を提示し、価格交渉を行ったり、現場で使用する介護職員さんにも、節約の意識も持ってもらうため、トロミ粉の価格を周知しました。

栄養補助食品は、対象者の見直し、種類の見直しをしました。

個別対応も大切ですが、変更しても問題ない方は変更し、種類をまとめることで、その商品の購入量が増え、価格交渉がしやすくなります。

 


2.油の使用回数

揚げ物の回数を減らし、揚げ油を節約。他にも、パン粉をまぶし、スチコンで焼いて油の使用量を減らす、揚げ物を献立から外すのではなく、調理方法の工夫も1つの方法です。オーブンで焼くカツやコロッケなどのノンフライ商品があったり、揚げない揚げ物レシピもたくさんありますので、そういうものを取り入れるのも良いかもしれませんね。


3.果物の提供頻度

果物の頻度を減らし、缶詰やゼリーなどに変更。

季節感やビタミン補給の面からも果物は比較的多く献立に取り入れていましたが、価格の高い果物の頻度を減らし、行事食の時には季節のフルーツを、それ以外は缶詰やゼリーへ変更しました。


4.市販の嚥下調整食商品

当施設では、嚥下調整食は一部手作りでそれ以外は市販の商品を使用しています。

全て価格の安い商品に切り替えるもの方法ですが、食の満足度も考慮して、行事食など特別なメニューの時は形ある商品(みためがシリーズ等)、普段の食事はやさしい素材シリーズでメリハリをつけることも大切だと思います。市販の商品を使うことのメリットは必要分だけの使用で食品ロスやコスト削減に繋がることだと思います。発注時点では大まかな数で発注するため、手作りの場合、生の食材だと当日の食数との差が多少出てしまうと思います。余裕があれば、直前で発注変更もできると思いますが、栄養士業務が給食業務だけでないと業務負担になってしまうので、なるべく手間を省いて、効率よくやっていきたいですよね。

その点、市販の商品(特に冷凍など賞味期限が長いもの)だと余ったら保管して次の献立に使用できるため、発注時にはそこまで気にせずに発注でき、使いやすいと感じています。


5.仕入れの工夫

まとめて購入することで安く購入できたり、値上がり前に一括購入をしたりしています。あとは業者さんが在庫をかかえている時に安く提案してくれるので、それを購入して献立に入れたりして、少しでも安く仕入れられるような工夫をしています。

 


6.コスト削減の意識の共有

厨房では食材や商品価格の一覧表を共有。必要分だけの使用を再徹底してもらうことはもちろんですが、価格共有した効果なのか、現場からもここは節約できる、ここはこうしたらどうかなどの意見ももらえることが増えました。栄養士だけでは目が行き届かない、考えつかないこともあるので、みんなで節約の意識を持つことが大切だと改めて感じました。

 


7.節約の優先順位、お金の使い方のメリハリ

栄養価に大きな差がでない程度に食材の量を数グラム減らしたり、安い食材に置き換えたりしています。

数グラム単位、価格は数円~数十円程度の調整ですが、大量調理の給食では大きな差になります。

塵も積もれば山となるです。そこで捻出した費用を行事食やレク代へまわしています。

節約ばかりでなく、メリハリ。楽しみ1つである食の満足度を落とさないために、どこを節約してどこにお金を使うかの優先順位を明確にすることが大切だと思います。

 


今回のコスト削減で、いろいろな商品を見直し、切り替えを行いました。

商品の切り替えや新しい商品を導入する際は、関わる職種全員で検討を行っています。

栄養士だけでは、栄養士の視点しかなく、導入してから問題が出てくると、再検討したり、元の方がよかったという意見が出てしまうと、仕事も増えてしまいます。

導入してみないとわからないこともありますが、事前に全部署でしっかりと検討を行うことで、そういうトラブルを減らすことができます。サンプル依頼が可能なものは、サンプルでお試し期間を設けます。

実際に使用、提供して入居者さんや職員の反応を見ることができると導入もスムーズです。

 


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プロフィール

栗野先生

社会福祉法人 共愛会 特別養護老人ホーム 共愛の里 管理栄養士
インスタグラムでの施設の取り組みやお食事をご紹介やコラムの執筆など多方面でご活躍されている。

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