|コラム|精神科病院でのソフト食を提供する際の工夫点とこだわり

『精神科病院でのソフト食を提供する際の工夫点と特にこだわっている点』と題して、

精神科病院ならではのエピソードや工夫点を

医療法人社団 天紀会 こころのホスピタル町田 栄養士 山口育恵先生にお話しを伺いました。


当院は378床の精神科病院になりますが、現在患者様の多くが認知症の方です。

病状によっては、ごくたまに、お食事が虫に見えるという方や毒を入れているのではないかと言う方もいらっしゃいます。また、急に気分が落ち込みお食事が召し上がれないといった方がいると、その気分の落ち込みが他の患者様にも連鎖することがあります。

そういった患者様にも、どうしたらお食事を楽しんでいただけるか、日々工夫しながらお食事を提供しています。

 


ソフト食を提供する際の工夫点

現在は月に1回のイベント食で、手作りと併用しながら既製品のソフト食を活用しています。

今回は普段のお食事やイベント食の際に工夫していることをご紹介します。

 

 

1.言語聴覚士にアドバイスをもらう

通常嚥下機能に問題ない方でも、食事を詰め込みやすかったり、薬の影響で今日は食事をあまり食べられなかったり日々状況は違います。個人の判断では間違っていることもあるので、言語聴覚士に入ってもらいアドバイスをもらうことで、これまで少しずつ食事の形態を改善してきました。

 

2.作業工程やレシピを記録し、ソフト食を誰でも作れるようにする

ソフト食の献立は今は一人で考えていますが、提供した時には必ず作業工程やレシピを記録しておいて、他の栄養士も調理できるようにしています。部内でレシピ化をして、誰でも作れることを目指しています。

 

 

▼レシピの記録

だれでも作れるように、調理工程や盛り付け工程の写真が載せられています。

(詳しくはレシピの記録をご確認ください)

 

▼行事食・お楽しみ食の年間実施献立表

各行事に沿ったイベント食を年間の献立表で作成されています。

(詳しくは年間行事をご確認ください)

 

 

3.嗜好調査を実施して患者様の声を聞く

当院では、年に4回嗜好調査として患者様に直接お食事について伺う機会があります。

このうち1回は全員に同じ項目(かたさ・温度・パン食について・主食の量・盛りつけの量など)を聞きます。これは病棟スタッフに聞いてもらいます。

それ以外の3回は対象者を絞って、何が食べたいか・お食事はどうか・その季節に食べたいものを選んでもらうこともあります。これは栄養士が患者様に直接聞きに行きます。

このように、嗜好調査をすることで、患者様の嗜好に寄り添えるようにしています。

 

 

▼嗜好調査の項目は以下の通り

 

 

 

 


食事の楽しさを感じていただくために

まず、見て興味をもってもらわないと食べてもらえないので、「彩り」や「盛り付け」はこだわっています。特にイベント食は、入院期間が長い患者様が多いので月一回の楽しみになってもらえたらという想いで作っています。イベントの際に、少しでも食べてみようかなと感じてもらえたら、普段のお食事を食べるきっかけにもなるかもしれません。食べることを思い出して、食事の楽しさを感じていただけるように毎回考えています。月1回のイベントだからこそ手をかけられるのかもしれませんが、嬉しい・楽しいと感じて、普段の食事の活力になればと思っています。盛り付けは、日々インスタで調べたり、「2023年 トレンド料理」と検索して、少しでも新しいものを取り入れられるように、何だろうという興味を持ってもらえるものを探しています。メニューカードも手作りで季節を感じてもらえるようにこだわって作っています。

 

 

▼実際に提供されているイベント食

  

 

  

 

 

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プロフィール

医療法人社団 天紀会 こころのホスピタル町田 栄養士 山口育恵先生

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