コラム|リハ栄養のポイント~低栄養対策~

リハ栄養のポイント~低栄養対策~について、

社会福祉法人親善福祉協会 介護老人保健施設 リハパーク舞岡 栄養課 苅部先生にお話を伺いました。

地域包括ケアシステムで求められる中間施設としての老健


社会福祉法人親善福祉協会が運営するリハパーク舞岡(以下、リハパーク舞岡)は、平成22年に開設した介護老人保健施設(以下、老健)で、入所定員100床のユニット型個室運営です。併設の通所リハビリテーションは定員45名です。リハパーク舞岡は、「在宅復帰超強化型」施設として指定されており、管理栄養士も多職種と共にリハビリテーション栄養(以下、リハ栄養)を実践し在宅復帰支援に取り組んでいます。

 

要介護高齢者の背景とリハ栄養の必要性


当施設に入所する方は、転倒・骨折、脳卒中、高齢による衰弱、認知症、関節疾患などが多く、低栄養状態も広く認められます。当施設に令和3年1月から3月に入所中の要介護高齢者のGNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)は80%程度が低栄養及び低栄養のおそれありと判定されていました。不適切な栄養管理下で筋肉量増加目的のリハビリテーション(以下、リハ)を行っても逆効果となるため、管理栄養士は「低栄養の原因はなにか」を探り、効果的なリハ栄養の実施に貢献する必要があります。

 

いまなぜ、老健でもリハ栄養が注目されているのか


令和3年度の介護報酬改定において、リハビリテーション・機能訓練・栄養管理・口腔管理を一体的に取り組み、自立支援・重度化防止を効果的に進めることが促進されています。そこで計画書も、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理、口腔管理に係る実施計画書」という、それぞれの実施計画を一体的に記入することができる様式が設けられました。自立支援や重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現を行う上でも、中間施設である老健にもリハ栄養の視点が重要となります。

 

リハ栄養とは


リハ栄養とは、ICFによる全人的評価と栄養状態、サルコペニア・栄養素摂取の過不足の有無と原因の評価、診断、ゴール設定を行った上で、障害者やフレイル高齢者の栄養状態・サルコペニア・栄養素摂取・フレイルを改善し、機能・活動・参加、QOLを最大限高める「リハからみた栄養管理」や「栄養からみたリハ」のことです1)。質の高いリハ栄養の実践には、リハ栄養ケアプロセスが有用とされます(図1)

当施設におけるリハ栄養の実践例


<栄養状態が改善・維持すると予測される場合>

リハ栄養ケアプロセスに沿って、今後の栄養状態が改善もしくは維持すると予測される場合は、レジスタンストレーニング、持久力増強訓練を実施します。

 

<体重増加をゴール設定する場合>

エネルギー蓄積量を加味した栄養管理

体重は1.0㎏増加のためには約7000kcalが必要なため、1ヶ月で1.0㎏増加させたい場合は、エネルギー蓄積量は233kcal/日(7000kcal÷30日)と推定し、総エネルギー消費量にエネルギー蓄積量を加味して、エネルギー必要量を求めます。

・筋肉量を増やす場合:体重1㎏あたり、たんぱく質1.2~1.5g

・筋肉量維持の場合:体重あたり、たんぱく質を1.0g

積極的な機能訓練を行い、脂肪による体重増加には注意が必要です。

 

<外傷、感染症などによる侵襲を認める場合>

外傷、感染症などにより侵襲を認める場合は、C反応性たんぱく(CRP)を用いて、炎症反応が高値の場合は低負荷のリハを実施し、CRPが3~5㎎/dl以下に低下は機能改善を目的としたレジスタンストレーニングや持久力増強訓練を開始します。

・C反応性たんぱく(CRP)の炎症反応が高値:低負荷のリハを実施

・C反応性たんぱく(CRP)3~5mg/dL以下:レジスタンストレーニングや持久力増強訓練開始

 

<飢餓による栄養状態低下が続くと予測される場合>

エネルギー摂取量がエネルギー消費量より少ない状態が続いた栄養不良などでは、

廃用性萎縮の予防や離床(2~3METs2)程度の訓練)を促します。

 

<摂取栄養量が目標栄養量に満たない場合>

・嗜好を探ります。ご本人だけでなく、ご家族や介助者、前医の情報も収集します。例え低カロリー、低たんぱく質食品でも、食べることのきっかけになる場合もあります。そのため栄養量にこだわらず、まず嗜好を確認します。

・ふりかけ、海苔の佃煮など、主食に味付けを行い食べ始めて頂ける場合もあります。

・主食をパンやパン粥、麺類、おにぎりに変更します。パンが食べられる方は、副食を挟みサンドイッチにすると炭水化物以外の栄養も確保できます。

・郷土料理で食の興味が改善した事例もあります。馴染みの味付けを確認します。

・悩み事、うつ状態の方には、食品数を減らす(どんぶりにするなど一皿で提供する)、食事形態を思い切って下げ、食べることへの負担を減らします。食べられるようになったらもとに戻します。

・冷たい温度、温かい温度など、好みの温度で配膳します。

・1日3食以外でも10時、15時など食間を活用し、頻回食、少量高栄養食の経口的栄養補助食品(Oral Nutrition Supplements ;ONS)を検討します。

・朝食はおいしく食べられた、などの発言があれば、昼食や夕食より朝食で提供量を増やします。朝食時に昼・夕食分のたんぱく質の代わりに、ONSをプラスします。

 

ONS選定の注意

・その方の摂食嚥下機能評価に適しているものか

・慢性疾患に配慮しているか

・日本人の食事摂取基準3)における許容範囲を超えていないか

・食品アレルギーは問題ないか

・必要栄養量に見合った量か

 

引用


 

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介護老人保健施設 リハパーク舞岡

栄養課 苅部康子先生

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