コラム|ミールラウンドでみるポイント

ミールラウンドでみるポイントについて、

社会福祉法人親善福祉協会 介護老人保健施設 リハパーク舞岡 栄養課 苅部先生にお話を伺いました。

 

栄養マネジメント強化加算の算定要件


令和3年度介護報酬改定で新設された栄養マネジメント強化加算では、管理栄養士によるミールラウンドを週3回以上実施することが求められています。

算定要件には、「低栄養状態のリスクが、中リスク及び高リスクに該当する者に対し、管理栄養士等が対応を行うこと。」「医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して作成する栄養ケア計画に、低栄養状態の改善等を行うための栄養管理方法や食事の観察の際に特に確認すべき点等を示すこと。」「食事の観察を週3回以上行い、当日入所者の栄養状態、食事摂取量、摂食・嚥下の状況、食欲・食事の満足感、嗜好を踏まえた食事の調整や、姿勢、食具、食事の介助方法等の食事環境の整備等を実施すること。」「食事の観察の際に、問題点が見られた場合は、速やかに関連する職種と情報共有を行い、必要に応じて栄養ケア計画を見直し、見直し後の計画に基づき対応すること。」とあります。

 

初めて取り組むミールラウンド


 初めてミールラウンドを経験する管理栄養士は、どのように観察をすればよいのかわからないものです。観察項目が多くなると、課題が絞り込めず時間だけが経過していきます。そこで、リスク管理として「その食事形態は適切か」の視点に絞り込んだミールラウンドの観察項目を行い、慣れてきたら視点を拡大することを提案します。エビデンスのある観察項目で確実にみる力をつけられるので、初めて取り組む管理栄養士にもスムーズに実践できるようになります。

 

6つの項目で絞り込んで観察する


①食事時間30分程度

②食事前後のバイタルサイン(脈拍・血圧・呼吸・体温・意識レベル)が安定

③75%以上摂取できる

④むせがない、飲み込みがスムーズ

⑤発熱、痰の増加など呼吸器感染所見がない

⑥口腔内に食物残渣がない

 

この6つの項目(文献1を一部改変)1)は、主に脳卒中の患者さんの嚥下食レベルを決定するための条件(現在の食事形態は適切か、食事形態を下げた方がよいのか、または段階的に食事形態を上げられるのか)です。

当施設では、令和三年度に管理栄養士が複数配置となりました。ミールラウンドを開始すると、他職種から「管理栄養士によって観察の差が出るのは困る」と意見がありました。そこで、6つの項目を参考にミールラウンドでみるポイントを統一しました。観察した内容は記録に残します。

以下、リハパーク舞岡での多職種で検討した「食事が30分程度」の項目に問題が発生した際に検討した内容の一部を示します。

 

【ミールランウドで観察した問題】「食事が30分程度」でない場合(食事に時間がかかる)

①  食事の自立度の問題。

②  食事時の姿勢に問題があるのではないか。

③  動揺歯、疼痛歯、義歯不適合、口腔内の炎症がないか。開口困難、舌取り込み能力の低下はないか、咀嚼に時間がかかるのか。麻痺の影響か。嚥下に時間がかかっているのか。

④  食べられない

疲労感、悩み事、うつ状態、嗜好が合わないなど

 

【多職種で検討した内容と対応】

①(食事、食事の介助方法):どの場面で介助が必要なのか食事の介助方法、食具の導入、配膳時間について検討した。

②(姿勢):食事前の座り直し、ポジショニングの実施。机や椅子の高さの調節、食台、足台、オーバーテーブル等環境を含め検討した。

③(摂食・嚥下の状況):動揺歯の問題は、歯科医師・歯科衛生士へ相談した。開口困難、舌取り込み能力の低下については、食事形態や食事の大きさ、食前の口唇と顎運動を検討した。咀嚼に時間がかかる場合は食事形態やとろみの濃度の調節を行った。顔面の麻痺がある場合、介助者が上口唇や下顎に手を添えて動きを誘導した。嚥下回数、喉頭挙上、嚥下後の口腔内残渣を観察し、食事形態やとろみの濃度を調節し、嚥下体操を食前に行う等検討した。

食欲・食事の満足感、嗜好を踏まえた食事の調整疲労で手が止まる場合は、食事の後半は介助を検討した。 頻回食、少量高栄養食を検討した。嗜好を探る。悩み事、うつ状態の方には、ご家族に面会を依頼した。嗜好が合わない場合は、卓上調味量を取り入れた。

その他、食欲が回復するまで、エネルギーの高い食材や調理法に変更、補助食品の検討。味覚異常の場合は、鉄、ビタミンB12、亜鉛の不足や、薬の副作用を探る。食事のテーブル席を変更した。ふるさとの料理を伺い、郷土料理を提供したところ食の興味が改善した事例もある。加齢により胃が十分に拡張しない、加齢により満腹感をもたらす消化管ホルモン「コレシストキニン」の分泌が亢進しているなども考えられる。

 

ミールラウンドの工夫


食事形態が適切かどうか観察だけでは難しい場合は、食事中の摂食嚥下機能の確認に咽喉マイク(写真①; 機種:咽喉マイク/南豆無線電機ENG-12jK標準サイズ、録音機/ソニーICD-X31メモリーカードレコーダー)を活用しています。咽喉マイクは、要介護高齢者においても安全に検査が可能で、日常の食事の場面で簡便に実施できます。咽喉マイク導入後、誤嚥の有無、及び咽頭運動の開始と終了を特定することができます。摂食嚥下機能評価は、検査内容により至近距離で実施する項目があります。感染流行期では特に飛沫曝露を避けなければなりません。感染対策の上でも、利用者と距離を保ち評価ができる咽喉マイクは、支援者側も安心して評価を実施できます。

参考資料

1) 金谷節子編著:ベッドサイドから在宅で使える嚥下食のすべて 医歯薬出版株式会社 2006 .

 


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