摂食嚥下障害の対応方法-食べこぼす-|摂食嚥下ラボ【コラム】

どんな時に食べこぼしますか?

 

口まで運ぶ間にこぼしてしまう(摂食時)


こぼさないように口元に運ぶには?

食べる環境を整えましょう。持ちやすい箸やスプーン、すくいやすい食器を使うことも重要です。

また、座っている位置とテーブルが離れすぎていたり、高さが違いすぎたりすることが原因である場合もあります。

 

―正しい食事の姿勢―

 

口に入れる時にこぼしてしまう(捕食時)


こぼさずに食べ物を捕らえるには?

・食べ物の形状を変える

取りやすい、運ぶときに落ちにくい食べ物にするスプーンにすくいやすい形状、ばらばらにならない形状にします。とろみをつけたり、一口大にまとめたり工夫しましょう。

 

・食器の工夫

手から落ちにくいスプーン、握りやすいスプーン、傾け方が少しでも飲めるカップなど、工夫された食器を使うことで、食べこぼしを減らすことができます。

 

・手づかみ食べもOK

上手にスプーンを使えない、どうしてもこぼれてしまう場合ははしやスプーンにこだわらなくても大丈夫です。

ただし、どんどん口に入れて誤嚥や窒息した事態を招かないよう、小さめに作ること、一度にたくさん出さないことをこころがけましょう。

―手づかみ食べ―

 

口に入ってから、咀嚼している間にこぼしてしまう(咀嚼時)


咀嚼時にこぼさないためには?

・口唇閉鎖をすすめる

→はい、口を閉じましょうと声をかけて促します。

閉じにくい人には、自分の指を唇にそえて閉じてもらったり介助の人が指を添えてとじたりします。

 

・こぼれにくい形状にする

→とろみをつける、あんかけにするなどで保持しやすくします。

 

・詰め込みすぎを防ぐ

→一口分の量を少なくする工夫をして、詰め込みすぎを防ぎます。

小さなスプーンにする、小さなお皿に少なく盛る、食べ物を小さくするなどします。

また、一口ずつ食べるように声をかけるのもいいでしょう。

 

・姿勢の改善

→前かがみになりすぎると口からこぼれてしまいます。正しい姿勢で食べてもらうようにしましょう。

 

・見守り

→食べることに集中してもらうために声かけよりも見守りをします。

声掛けはタイミングをよく見計らって、最小限で行います。

 

飲み込んだ瞬間に飛び出してきてこぼしてしまう(嚥下時)


嚥下時の食べこぼしを減らすには?

 

・姿勢の改善

→あごが上がっていると、飲み込むことは困難になります。

必ずあごを引いてもらいます。

 

・保持しやすい形状にする

→とろみをつけて、口の中で保持しやすい形態にします。

 

・口唇閉鎖をすすめる

→口をきちんと閉じてから飲み込んでもらうようにします。

 


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プロフィール

菊谷武先生

昭和63年日本歯科大学卒業 現在、日本歯科大学教授で、東京小金井市にある同大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長を務める。クリニックでは、「スプーン一杯でも食べさせてあげたい」「他の子と同じように上手に食べて欲しい」と求める介護や療育の現場で摂食支援を行っている。

著書に『認知症「食事の困った」に答えます』女子栄養大学出版、『食べる介護がまるごとわかる本』メディカ出版などがある。

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