摂食嚥下障害の評価|摂食嚥下ラボ【コラム】

食べているところを観察する


その人の状態に適した食べ物を食べてもらうには、摂食嚥下機能を客観的に把握することが不可欠です。

 

まず、ふだんの食事の様子をじっくりと観察してください。

  • 食べ物をしっかり認知しているか
  • 食べ物をしっかり飲み込んでいるか
  • 飲み込む動作は一度で済んでいるか
  • 飲み込む前に、口の中に食べ物を詰め込んでいないか
  • 口の中に入れすぎてこぼしていないか
  • 上手に口全体を使って咀嚼しているか

 

触れてみる


食事の時以外に調べる方法で最も簡便なのは、飲み込む時の喉仏の動きを指で確認して、嚥下がきちんとできているかを調べるやり方です。(喉頭挙上聴診)

―のどに触れてチェック―

 

聴いてみる


聴診器を使うとごっくんと飲み込む音が聞き取れ、さらにその前後の呼吸音も調べられます(頸部聴診)正常な嚥下音は「コ・ク」という澄んだ二つの音です。次のような音がしたら、嚥下がうまくいっていない証拠です。

 

  • 飲み込む時に、ごぼごぼと液体が泡立つような音や、むせているような音がする
  • 飲み込む音が1度だけでなく、2度、3度と続く
  • 飲み込んだ後、液体が振動するような音やひゅーひゅーという音、湿ったような音が聞こえる

 

―聴診器でチェック―

 

内視鏡やレントゲンで調べる


嚥下機能をさらに詳しく調べる方法として、ビデオ内視鏡検査(VE検査)と嚥下ビデオレントゲン検査(VF検査)があります。

 

VE検査とは、鼻から内視鏡を入れ、食べている状態を見る検査です。

喉の様子が直接モニターに映し出され、家族の方も一緒に見ることができます。訪問診療でも実施できます。

―VE検査―

 

VF検査とは、造影剤入りのゼリーなどを食べてもらい、嚥下の様子をレントゲンで動画撮影します。

―VF検査―

 

いずれも専門家でないと行えない検査ですが、嚥下障害の有無や程度を知っておくために、一度は調べてもらうといいと思います。

かかりつけの医師や歯科医師へご相談ください。

 


 

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プロフィール

菊谷武先生

昭和63年日本歯科大学卒業 現在、日本歯科大学教授で、東京小金井市にある同大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長を務める。クリニックでは、「スプーン一杯でも食べさせてあげたい」「他の子と同じように上手に食べて欲しい」と求める介護や療育の現場で摂食支援を行っている。

著書に『認知症「食事の困った」に答えます』女子栄養大学出版、『食べる介護がまるごとわかる本』メディカ出版などがある。

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